カタラン・バロック様式の重厚な建物「ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)」− バルセロナ・メルセ祭旅行

ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
バルセロナ|ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)

「ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)」は、カタラン・バロック様式の重厚な建物で、観光客が行き交う「ランブラス通り(Las Ramblas)」沿いにあります。

本日は、メルセ祭(La Mercè)開催中のため、1階部分には巨人「ヒガンテス(Gigantes)」と動物の姿をした「人形(Bestiari)」たちが飾られていました。

メルセ祭(La Mercè)で賑わうバルセロナの旅行シリーズ
今回は「ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)」です。


動物の姿をした人形(Bestiari)
現在の人形は、新しく作り直されていますが、起源は中世にあります。
中世のカトリック教会が、文字の読めない市民に聖書の中身を共有させるために、演劇で表現したことに起源があり、その為動物の姿をした人形(Bestiari)には、ワシ、ライオンや牛、悪を表すドラゴンそして架空の動物があります。
※四人の福音史家を表すシンボルは、天使、ワシ、ライオン、牛です。
18世紀に、ブルボン君主制によって導入された制限以下、特に1780年カルロス3世の勅令によって課された禁止によって一時期は姿を消していたそうですが、
その後、1990年代から回復の兆しが現れ、現在に至っているとのこと。



「ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)」の外観

ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
「ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)」は、カタラン・バロック様式の重厚な建物(1772年~1774年)。
建築家であり彫刻家であったCarles Grauの設計で、家主「マヌエル・アマット(Manuel de Amat)」の妻の名前を付けた宮殿です。
 
左側には、壁龕がありLuisa Graneroによって1967年に作成された聖母像があります。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
個人的には、右側にあるこのハチのキャラクターが気になっています。。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
本日は、地元のこども達も見学に来ていました。



巨人「ヒガンテス(Gigantes)」と動物の姿をした「人形(Bestiari)」

ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
バルセロナ市の巨人(EL GEGANTS DE LA CIUTAT)
「ジャウマ1世(Jaume I)」とハンガリー王の娘「ビオランテ(Violant)」。

これらはバルセロナ市を象徴する巨人です(巨人はそれぞれの市や地区を象徴します)。
独裁政権下では名前を「フェルナンド(Ferdinand)」と「イザベラ(Isabella)」に変更されていたそうですが、1984年に元の名前に戻ったそうです。

「ジャウマ1世(Jaume I)」は、13世紀カタルーニャ=アラゴン連合王国として地中海への拡張政策に乗り出し、バレアレス諸島、シチリア王国、サルディニアを征服し、コルシカの大半を制圧しました。

→メルセ祭(La Mercè)でのダンスの様子は、こちら


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ライオン(El Lleó de Barcelona)
ライオンは、四人の福音史家の聖マルコを表しています。
15世紀には、文章としての記録があり、唸り声が人気だったようですが、
1780年のカルロス3世により唸り声の禁止令が出たそうです。
ライオンには、Jordi Fàbregas i Canadellによる作曲、そしてXavier Lópezによる振り付けのダンス(Ball del Lleó)があります。

普段は、Casa dels Entremesosにいます。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ドラゴン(El Drac de Ciutat Vella)
このドラゴンは、火のショーなどでは、口や羽、しっぽから火花を出すこともできますが、ヒガンテス(Gigantes)の従者を演じる際(公式のパレード等)には、口にカーネーションの束を加えて平和な生き物となります。
15世紀にはドラゴンの記録があるそうです。現在のものは1987年製。

普段は、Casa dels Entremesosにいます。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ラバ(La Mulassa de Barcelona)
パレードの際、爆竹を振りかざして歩きます。
ラバの記録は1601年にはあるようですが、一時姿を消し、1988年に再び復活。
ラバには、Eduard Casals i Ramisによる作曲、Xavier Lópezによる振り付けのダンス(Ball de la Mulassa) があります。

レプリカは、Casa dels Entremesosに、本物は「サンタ・マリア・デル・ピ教会(Basílica de Santa Maria del Pi)」にあります。

サンタ・マリア・デル・ピ教会(Basílica de Santa Maria del Pi)

ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
牛(Bou de Barcelona)
愛らしい顔をしています。
40kgあるらしいのですが、牛ダンス(Ball del Bou)を踊ります。
牛は、四人の福音史家の聖ルカを表しています。
15〜16世紀には肉屋のギルドが、そして17世紀にギルドが解散した後は、ギルドがあったピ地区(del Pi)にあったそうです。
その後、右葉曲折があり、現在のものは1993年に造られたものとのこと。

普段は、Casa dels Entremesosにいます。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ワシ(L'Àliga de Barcelona)
14世紀には、既に記録があったというバルセロナを代表するワシです。
現在のものは、1999年に造られました。
ワシは、四人の福音史家の聖ヨハネを表しています。
ワシは、サンタ・マリア・デル・ピ教会(Basílica de Santa Maria del Pi)で発見された古い楽曲を元にしたダンス(Ball per a ballar l'Àliga de Barcelona)を踊りますが、これは「La Fiesta de la Patum de Berga」で踊られるワシのダンスの楽曲と似ているそうです。

普段からここ、Palau de la Virreinaにいます。

→メルセ祭(La Mercè)でのダンスの様子は、こちら


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
Víbria de Barcelona
これは、蛇の尾、コウモリの翼と女性の胸を持つ邪悪な、女性のドラゴンを表す中世神話の生き物です。
15世紀には、この人形の存在が記録にあるようです。
こちらもショームとドラムの音楽に合わせて踊る独自のダンスがあります。

普段は、Casa dels Entremesosにいます。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
Tarasca de Barcelona
以前はカーニバルドラゴン(Cuca Fera)と呼ばれていたそうです。
猫の顔、人間の器量、として亀の体をもつ生き物です。
起源は、プロバンスの村の伝説「霧と湿地の泥の海の間に生息し、村の少女を貪り食うとして恐れられた生き物」とのこと。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
Tarasca de Barcelona
メルセ祭(La Mercè)のパレードでは、水(お菓子もあり)を撒き散らして行きます。
火祭コレフォック(correfoc)の時には火を吹きます。。。
そしてダンス(Ball de la Tarasca)も踊ります。
198kgもあるそうですが。。

普段は、Casa dels Entremesosにいます。

メルセ祭(La Mercè)で水を撒き散らしている様子


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
奥にはまだまだ「ヒガンテス(Gigantes)」が居ました。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ピ地区の巨人(Gegants del Pi)とサンタ・マリア・デル・マレの巨人(Gegants de Santa Maria del Mar)
「ピ地区の巨人(Gegants del Pi)」は、「ムスタファ(Mustafà)」と「エリセンダ(Elisenda)」です。
「ムスタファ(Mustafà)」は1610年、「エリセンダ(Elisenda)」は1700年から記録があるようです。

「サンタ・マリア・デル・マレの巨人(Gegants de Santa Maria del Mar)」は、「シバの女王(Reina de Saba)」と「シバ王(Rei Salomó)」です。

地元のこども達は記念撮影中。
※写真右側にある入口は、無料で利用できるトイレです。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
上を見上げるとベランダ。


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
綿商人の趣味の馬(Cavallets Cotoners de Barcelona)
馬は、トルコ人とキリスト教徒の間の戦いを表す数字、8体で構成されています。
文章として記録にあるのは1424年。
馬には、公式な曲(Jordi Fàbregas作曲)と非公式でパレード等に使用する曲(Joan Gómez編曲)があるようです。
背中に穴が空いており「メルセ際(La Mercè)では、ここに人が入ってダンス(Ball dels Cavallets Cotoners)を踊ります。

普段は、Casa dels Entremesosにいます。


この後「ランブラス通り(Las Ramblas)」を歩いて、観光客でごった返す「ボケリア市場(Mercat de Sant Josep)」に向かいました。


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2015年9月


ビレイナ宮殿(Palau de la Virreina)
メモ:建物奥の右側に無料のトイレがあります。
ランブラス通り(La Rambla)を散歩の際には便利です。


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