1373年に初めて使用された百人室も現役「バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)」の見学 − バルセロナ・メルセ祭旅行
「バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)」は、「 サン・ジャウマ広場(Plaça de Sant Jaume)」に建つ建物です。
日曜日の午前中のみ無料で見学できるので、今回初めて行ってみました。
「バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)」の内部は、圧倒されそうな重厚な造り、そしてミロなどバルセロナとゆかりのある芸術家の作品が所々に置かれて、まるで美術館のようでした。
メルセ祭(La Mercè)で賑わうバルセロナの旅行シリーズ
今回は「バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)」です。
INDEX
- バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)の外観
- 見学用の入口がある「シウタト通り(Carrer de la Ciutat)」
- バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)の入口
- 車寄せ
- お城の様な「名誉の階段(l'escala d'Honor)」
- ゴシック様式の回廊
- 百人室(Salo de Cent)
- 摂政女王の室(El Saló de la Reina Regent)
- 不思議な空間の「Saló de les Cròniques」
- Saló de les Cròniquesの奥にある「Capella del Bon Consell」
- 黒い大理石の階段と廊下
- 出口は「SALA CIUDAT
1.バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)の外観
1847年に完成した現在のネオクラッシック様式の正面は、サン・ジャウマ広場(Plaça de Sant Jaume)の改装に伴い、建築家ョセップ・マス・ヴィラ(Josep Mas i Vila)によって設計。
見学用の入口は、残念ながらこの建物の正面ではなく、建物左側の道、「シウタト通り(Carrer de la Ciutat)」を少し歩いた所にあります。
サン・ジャウマ広場(Plaça de Sant Jaume)
HAPPY TRAVELER: ローマ時代から行政の中心地「サン・ジャウマ広場(Plaça de Sant Jaume)」- バルセロナ旅行
1-2.3つの旗が掲げられた市庁舎
市庁舎の上には3つの旗が掲げてあります。
左からカタルーニャ州旗、スペイン国旗、バルセロナ市旗。
上部にあるバルセロナの寓話を示す象徴や紋章の彫刻は、Daniel Molinaによる作品。
1-2.ジャウマ1世(JaumeⅠ)の像
バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)正面の彫刻。
2.見学用の入口がある「シウタト通り(Carrer de la Ciutat)」
2-1.ゴシック様式の正面(La fachada gótica)
右側にあるのが、バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)のゴシック様式の正面(La fachada gótica)です。
2-2.羽を広げた彫刻サン・ラファエル大天使(L'arcàngel Sant Rafael)
羽を広げた彫刻「サン・ラファエル大天使(L'arcàngel Sant Rafael)」は、14世紀の終わり頃活躍した彫刻家Pere Sangladaの作品。
両脇には、Sant Severやサンタ・エウラリア(Santa Eulalia)の彫刻もあります。
当初はこちら側が、アルナウ・バルゲス(Arnau de Bargues)に依頼し、1339年に完成した、ゴシック様式の正面入り口でした。
しかし、1839年のサン・ジャウマ広場(Plaça de Sant Jaume)の改装のため一部取り壊された後、一転、保存する方向に変わったため、入り口のアーキボルトが一部いびつになっています。
窓枠にはオークの葉と花がモチーフとなっています。
ステンド・グラスの中央には、X字型の十字架を持ったバルセロナの守護聖人サンタ・エウラリア(Santa Eulalia)の姿が見えます。
3.バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)の入口
バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)の入口は
この先、右側にあります(看板があります)。
手荷物検査を受けてから入館。
入館は無料にもかかわらず、簡単な説明書きがあるリーフレットが貰えます。
4.車寄せ
入館すると、突然このような景色が広がります。
一番奥がサン・ジャウマ広場(Plaça de Sant Jaume)に面した、先程の正面入口です。
「La Genoveva??」説明文だけが。。
本来ここに展示してあり、1968年以来バルセロナ市が所有している
車(Renault 11 HP)があり、、ません。。
木造の天井を石のアーチと柱が支え、重厚感があります。
この空間だけでもかなり広いです。
この先、左に進みます。
先に見える彫刻は「La Pujanza」という題名の「ジョセップ・クララ(Josep Clarà)」の制作(1930年)
5.お城の様な「名誉の階段(l'escala d'Honor)」
この中央階段は、当初建築家Pere Falquésの設計で1894年につくられ、
1929年に、Adolf Florensaにより改装されたそうです。
天井のステンド・グラス、壁にある2つのタペストリー、シャンデリアと見どころ満載。。
5-1.ステンド・グラスが綺麗な「名誉の階段(l'escala d'Honor)」
見上げると、ステンド・グラスが綺麗で先を急ぎたくなりますが。。。
階段の周囲にもたくさん彫刻があります。
ここだけでも、美術館のようです。
5-2.彫刻家ジュゼップ・リモーナの「サン・ジョルディ(San Jorge)」
バルセロナ生まれの彫刻家ジュゼップ・リモーナ(Josep Llimona)作。
カタルーニャ州の守護聖人「サン・ジョルディ(San Jorge)」の像(1930年 )です。
ジュゼップ・リモーナ(Josep Llimona)の作品
・A los mártires de la independencia
・絶望(Desconsol)
・Ramón Berenguer III el Grande
・サン・ジョルディ(San Jorge)
・A los mártires de la independencia
・絶望(Desconsol)
・Ramón Berenguer III el Grande
・サン・ジョルディ(San Jorge)
守護聖人サン・ジョルディ物語(超概略)
昔、騎士「サン・ジョルディ」が、カタルーニャにいたとされるドラゴンから
生け贄にされた王様の娘を救い、その際退治したドラゴンの血がバラとなり、そのバラを王様の娘に贈ったという話。
そこから今では4月23日が、親しい人にバラや本を贈る日「サン・ジョルディの日」となっているとのことです。
昔、騎士「サン・ジョルディ」が、カタルーニャにいたとされるドラゴンから
生け贄にされた王様の娘を救い、その際退治したドラゴンの血がバラとなり、そのバラを王様の娘に贈ったという話。
そこから今では4月23日が、親しい人にバラや本を贈る日「サン・ジョルディの日」となっているとのことです。
5-3.パウ・ガルガリョ作品「Urano」
「パウ・ガルガリョ(Pau Gargallo)」作品「Urano(1933年)」。
男性が馬の上に乗っています。
5-4.ジョセップ・マリア・スビラックスの作品「Materia y Forma」
ジョセップ・マリア・スビラックス(Josep María Subirachs)の作品「Materia y Forma(1980年)」
左↔右で、男性と女性の体になります。
ジョセップ・マリア・スビラックス(Josep Maria Subirachs)の作品
・Escudos de Barcelona
・サン・ジョルディのドア(Puerta de Sant Jordi)
・受難のファサード(Fachada de la Pasión)
※サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)
・Banco de Sabadell
・Materia y Forma
・Monumento a Francesc Macià
・Escudos de Barcelona
・サン・ジョルディのドア(Puerta de Sant Jordi)
・受難のファサード(Fachada de la Pasión)
※サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia)
・Banco de Sabadell
・Materia y Forma
・Monumento a Francesc Macià
天井は、重厚感のある木製。
やっと階段をのぼります。
階段をのぼると
こちらにも贅沢な空間がありました。
天井の絵は「ジョセップ・マリア・セート(Josep Maria Sert)」による作品です。
6.ゴシック様式の回廊
階段を登り終えた反対側には、ゴシック様式の美しい回廊があります。
回廊沿いには、ステンド・グラス。
こちらのステンド・グラスが、先程「シウタト通り(Carrer de la Ciutat)」から眺めたゴシック様式の窓です。
左から「サンタ・マドロナ(Santa Madrona)」、「サンタ・エウラリア(Santa Eulalia)」そして「Santa María de Cervelló」。
これらはバルセロナ市の守護聖人です。
回廊から、下を見下ろすと、正面入口が見えました。
右にあるのは、
6-1.ジョセップ・マリア・スビラックスの作品「バルセロナ市旗」
先程、市庁舎の上にも掲げてあった「バルセロナ市旗(Escudos de Barcelona)」です。
ジョセップ・マリア・スビラックス(Josep María Subirachs)による作品(1966年)
回廊沿いにある、この右のドアの中が、「バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)」の見どころである「百人室(Salo de Cent)」への入口です。
7.百人室(Salo de Cent)
「百人室(Salo de Cent)」は、Peter3世の頃、1373年8月17日に始めて使われた歴史ある場所です。
1369年にPere Llobetが主として設計し、その後、1842年の爆撃の被害の影響も含め何度も改修されたようです。
「百人室(Salo de Cent)」は、舞台席と観客席のように、椅子が向かい合った作りになっています。
こちらが観客席のような、長椅子が並ぶゾーン。
床には様々な職業別組合(ギルド)や市の紋章があります。
椅子は木製ですが、背もたれのみ革張りになっています。
7-1.Enric Monserdà制作による巨大な大理石のレリーフ
そして、こちららが舞台席のような作りの方。
議会場の中央には、1373年8月17日に行われた初の協議会を記念した
Enric Monserdà制作による巨大な大理石のレリーフがあります。
レリーフの上部分。
レリーフの下部分。
7-2.Manuel Fuxà i Lealの「ジャウマ1世(JaumeⅠ)」の像
右側には、Manuel Fuxà i Lealの作品「ジャウマ1世(JaumeⅠ)」の像
7-3.カタルーニャ州の守護聖人「サン・ジョルディ(San Jorge)」の像
こちらもManuel Fuxà i Lealの作品である「守護聖人サン・ジョルディ(San Jorge)の像」。
この他、議会側の席で、目に入るのは、
椅子の天蓋(?)の素晴らしい彫刻や
それぞれ違う彫刻がある、椅子です。
現在、天井は半円アーチですが、
当初の計画とは違うようです。
照明からは、バルセロナの紋章の飾りが下がっていました。
7-4.百人室(Salo de Cent)の左には、黒い大理石の階段があります
百人室(Salo de Cent)の左側にあるドアからは、「黒い大理石の階段」に行くことができます。
7-5.百人室(Salo de Cent)の右には「El Saló de la Reina Regent」があります
「El Saló de la Reina Regent」へは、百人室(Salo de Cent)の右側にあるドアから直接入ります。
8.摂政女王の室(El Saló de la Reina Regent)
「摂政女王の室(El Saló de la Reina Regent)」は、Francesc Daniel Molinaによるデザインで1860年完成、現在も総会が開催されています。
が、見学当時は「マリア・クリスティナ(スペイン王アルフォンソ12世の王妃)」に因んだ名前だったこの空間は、2016年に共和党市長のカルラス・ピ・イ・スニエール(Carles Pi i Sunyer)に因んだ名前「Sala del Plenari Carles Pi i Sunyer」と変更されたそうです。
両脇にある大理石の彫刻はどちらも、Josep Viladomatの作品で、左がサンタ・エウラリア(Santa Eulalia)、右がサン・ジョルディ(San Jorge)です。
Francesc Daniel Molinaの作品
・レイアール広場(Plaça Reial)
・El Saló de la Reina Regent
・Plaça del Duc de Medinaceli
・レイアール広場(Plaça Reial)
・El Saló de la Reina Regent
・Plaça del Duc de Medinaceli
正面は半円の直径部分、後は円形になっています。
天井はステンド・グラスのある半ドームです。
中央にあるのはブロンズのシャンデリアと「マリア・クリスティナ女王とアルフォンソ3世(Maria Cristina,the Queen Regent,and her son Alfonso XII)」の絵画
絵画の手前中央にあるはずのJan Carlos I の胸像はみつかりませんでした。
※Jan Carlos I の胸像は、(スペイン皇室なので)バルセロナ州議会(El Ayuntamiento de Barcelona)が箱に入れて片付けてしまったようです。。証拠動画がありました。
床の寄木細工には、真ん中に市の紋章が入っています。
画面中央の桟敷席は、一般の人やプレス等の席になっているようです。
下部分の座席も、2つのブロックにわかれ、
半円形に設置された座席50席が議長席を取り囲むように設置してあります。
9.不思議な空間の「Saló de les Cròniques」
百人室(Salo de Cent)を出て、右に進むと左側にある部屋「Saló de les Cròniques」です。
部屋の中は、窓が1つもなく、ドアと床以外の部分は全て壁画で覆われています。
壁は14世紀に行われた遠征の様子を、先程と同じ「ジョセップ・マリア・セート(Josep Maria Sert)」が描いたものです。
天井も複雑。
「ジョセップ・マリア・セート(Josep Maria Sert)」の作品「La defensa de la torre de Adrianópolis」。
これらは、以前は金箔と銀箔で覆われていたカンバスに油絵で描かれていました。
こちらはおそらく「LA MARCHA HACIA EL BÓSFORO」。
「EL ASESINATO DE ROGER DE FLOR」
なのか。。
黒い大理石の床にも、周囲の壁画が映り込み不思議な空間です。
10.Saló de les Cròniquesの奥にある「Capella del Bon Consell」
「Saló de les Cròniques」の一番奥には、 礼拝堂「Capella del Bon Consell」があります。
1379年〜1408年に造られたそうです。
中央には、黒い聖母(Mare de Déu de Montserrat)が飾られています。
その上には、X字型の十字架を持ったバルセロナ市の守護聖人「サンタ・エウラリア(Santa Eulalia)」と思われるレリーフもあります。
左側のレリーフの中央上は、聖母マリアの戴冠。
右の壁にあるレリーフ中央上には、
ベツレヘムの星を取り囲む天使たち、
その下には誕生したイエスと、イエスを礼拝する東方の三博士らしき姿があります。
右の枠からはみ出した、馬や羊が本当に動き出しそうで可愛らしい!!
天井には、彫刻家「エンリック・モンジョ(Enric Monjo)」による
アルファとオメガそして、神の手のモザイク。
その周りには、菩提樹などの木の彫刻があります。
11.黒い大理石の階段と廊下
部屋を出るとこんな風景。
左が百人室、右が黒い大理石の階段、
そして奥に先程見たゴシック様式の回廊があります。
11-1.重厚な天井とステンド・グラス
階段と廊下の天井は重厚感に溢れ、
まるでガウディの「グエル邸(Palau Guell)」を彷彿とさせます。
グエル邸(Palau Guell)
HAPPY TRAVELER: ガウディ作品「グエル邸(Palau Guell)」の重厚で贅沢な空間を堪能 - バルセロナ旅行
11-2.黒い大理石の階段横の壁画
壁画は、カタルーニャ出身の画家「Miquel Viladrich i Vila」による作品(1930)。
人々はカタルーニャ地方のそれぞれ異なる地域の伝統的な服装をしています。
11-3.ジョセップ・ビラドマットの作品「La bona acllida」
「ジョセップ・ビラドマット(Josep Viladomat)」の作品「La bona acllida」
11-4.黒い大理石の階段
先程の白い彫刻を見上げています。
11-5.フレデリック・マレーの作品「El espíritu mediterráneo」
「フレデリック・マレー(Frederic Marès)」の作品「El espíritu mediterráneo(1939年)」
11-6.ジョセップ・クララの作品「La Diosa」
「ジョセップ・クララ(Josep Clarà)」の作品「La Diosa」。
この作品は、「カタルーニャ広場(Plaça de Catalunya)」にもあります。
※後ろのドアが、「シウタト通り(Carrer de la Ciutat)」から見た、正面入口のドアでしょうか。。
11-7.ミロ(Joan Miró)の彫刻「Mujer」
美しいステンド・グラスと「ミロ(Joan Miró)」の彫刻「Mujer(1981年)」
こちらの階段は、最後に2階から降りる際に使用した、黒い大理石の階段です。
12.出口は「SALA CIUDAT」
「バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)」の見学後は、「シウタト通り(Carrer de la Ciutat)」のSALA CIUDATが出口となります。
SALA CIUDATには、バルセロナ市議会の公式の本屋があり、ユニークな展示も行っています。
今回、訪れた時は、TEDとバルセロナ市議会が協賛で「Young talent in Barcelona」という展示を行っていました。
SALA CIUDAT
Web:http://salaciutat.bcn.cat/
Web:http://salaciutat.bcn.cat/
※右上には「サンタ・エウラリア(Santa Eulalia)」の彫刻があります。
この後、「ライエタナ通り(Via Laietana)」を散歩し、ご飯を食べました。
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2015年9月
バルセロナ市庁舎(Ayuntamiento de Barcelona)
Web: | ajuntament.barcelona.cat/ |
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